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『2014年の経済はどうなるか?』 ~ハッピーリッチメルマガより~

2013年12月25日

~ハッピーリッチアカデミー182号より~

メリークリスマス!

いつもありがとうございます。ansの川瀬です。

早いものでもう2013年も終わりですね。 年末にあたりまして、今年の振り返りとちょっと早いですが来年を「勝手に」展望してみたいと思います。

■2013年を振り返る

まず、今年一年を振り返ってみたいと思います。

今年の一発目の2013年1月8日に私はこのように書きました。
(ハッピーリッチコラム158号『今年の展望 ローン金利はどうなる?』

『今年は何となく好景気になりそうな気がしていますよね。安倍政権ではデフレ脱却のために大胆な金融政策を行うとしています。 すでに「アベノミクス」への期待から株価も上昇しています。(中略) 今年の景気は良くなるでしょう。ちょっとインフレになるかもしれません。インフレになれば円安基調が定着します。そうなれば株価水準も上がるでしょう。 金利は金融緩和が続くのでさほど上がらないでしょう。それぞれどこまで行くかはわかりませんが、傾向としてはそうなっていきます。それで私たちはどうするかをよく考えて行動したいものですね。』

まぁ、みんながそう考えていたと思いますが、やはり今年はそういう年でしたね。景気的にはまずまずの年でした。

円相場は2013年年明け頃に、1ドル=88円程度だったのが、今や104円です。

日経平均株価は、1月4日の初値が10,604円だったのが、今や16,000円越えの水準です。

一方で長期金利は、政策的にそうしたわけですが、2013年一月が0.8%程度だったのが、今でも0.7%程度とほとんど変わりませんでした。

 

■2014年政策転換に踏み切るアメリカ

振り返って、前年末の政権交代前後から円安に歯止めがかかり、株高の様相を呈し始めた状態で迎えた2013年は、黒田日銀総裁による異次元の量的緩和政策でさらに円安ドル高、そして株価上昇という流れを作りました。 でもこれはアベノミクスの実力だけとは言い切れません。世界との関係の中で考える必要があるでしょう。

5年前のリーマン・ショック後、大きな痛手を受けたアメリカ経済と、その余波を受けた形で財政破たんが明らかになったギリシャや南欧諸国を抱えたヨーロッパ経済は「危機」とも呼ぶべき状態にまで落ち込みました。 比較的リーマンの痛手が軽微だった日本で円高が進んだのはそういう背景があったわけですが、ようやくアメリカもヨーロッパも回復してきました。

アメリカでは来年から金融政策が変わります。

<米FRB、量的金融緩和の縮小を決定 来年1月から> (2013年12月19日付 朝日新聞)

『米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、景気を刺激するために市場に大量のお金を流す「量的金融緩和」の縮小を決めた。2008年秋の金融危機後、断続的に進めてきた巨額の米国の量的緩和が「出口」に向かって動き出した。』

2008年9月のリーマン・ショック後に急激に悪化した米国経済を下支えするために、FRBは市場に大量のお金を流す量的緩和策を行ってきました。 最近になって、失業率が低下傾向になったり、住宅着工数が20%以上の伸びを見せたりするなど、米国経済が回復の兆しを見せる中、来年1月から量的金融緩和を縮小させていくことにしたのです。

2013年5月23日に日経平均株価は一日で1,143円も暴落しました。バーナンキFRB議長が量的緩和策の縮小に言及したことも一因と言われています。アメリカ経済がようやく回復しはじめたところで金融緩和をやめて引き締めに入ったら、また米国景気は冷え込むのではないか、2008年に逆戻りするのではないか、という懸念が強かったようですが、今回は心配無用でした。 緩和縮小が決まった翌日のニューヨーク市場は、ダウ工業株の終値が292ドル高、円相場も5年ぶりに1ドル=104円台の円安ドル高水準になりました。

以前と比べてアメリカ経済が確実に良くなっていると実感されていることや、方針転換と言っても、債権買い取り額を現状の毎月850億ドルから750億ドルに減額するという小幅な縮小であることなどからの安心感だったようです。 「失業率が6.5%を下回っても直ちに金利は引き上げない」とバーナンキ議長がコメントを出すほどの気の使いようです。FRBも学んでいますね。かなり慎重な対応でした。 おかげで安心して株価は上がった訳です。

■さて日本の政策は?株価は?為替は?

一方、日本です。

日銀は20日の政策決定会合で「当面の政策を現状維持として過去の最大の金融緩和策をこれまで通り継続する」と発表しました。 今後の見通しとして黒田日銀総裁は、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも基調的には緩やかな回復を続ける」と声明を出しました。

アメリカが景気回復を認めて政策転換に踏み切った一方で、日本はまだ緩和を止められるほど景気回復が本物ではないということですね。

来年4月には消費税が上がります。その反動で、2014年度の第2四半期、4月~6月は間違いなく消費は落ち込み、経済はマイナス成長するでしょう。

それが何より政府・日銀は怖いんでしょうね。

だから金融緩和は止められない。それどころか市場では、「日銀は今以上に追加の緩和に動くのではないか?」という見方もあるくらいです。

米国の景気回復は順調で緩和縮小への市場の理解も進んでいます。 日本は緩和方針の修正どころかさらなる金融緩和に突き進むと市場は見ています。

この方針の下ではっきり言えるのは、「日米金利差はますます広がる」ということ。

金利差が大きくなれば、ドル高円安基調はさらに加速するでしょう。 金利が低いままの円で運用するより、金利が上がっていくドルで資金を運用した方が利益が出ますから、投資家やグローバル企業は円を売ってドルを買う動きが強まるでしょうからね。 円安になると株価が上昇しやすい日経平均株価もそれなりに動いていくと思います。

少なくとも、消費税反動減の状況がはっきりするまでは、今の円安ドル高と株高、そして低金利は続くのでしょう。

■2014年上半期のテーマは「政策効果見極め」

次の焦点は、アメリカがいつ本格的に金融緩和を終えるか、です。 FRBは、以前から量的緩和終了時期については「失業率6.5%以下、インフレ率2%」という明確な水準を示しています。その時には米国金利は本格的に上昇します。 その時に日本がどうなっているか、ですね。

状況次第では下半期くらいに1ドル=120円くらいになっているかもしれません(ちょっと言い過ぎ?)。

すべての政府の政策には時間差があります。 アベノミクス第一の矢である「金融緩和」の効果は1年はかかると言われていました。さて、ようやく1年経過です。金融緩和本来の効果はこれからが本番ですね。

景気回復が本物になって、投資や在庫積み増しが本格化して、企業業績がよくなって、給与水準が上昇していくかどうか。 来年の特に上半期はそういうことを見極める時期になりそうです。

今回は以上です。 もっと日本が良くなりますように。

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