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若者が海外に留学する意義とは? ~ハッピーリッチ・メルマガ212号より~

2015年03月6日

いつもありがとうございます。ansの川瀬です。

今回は「留学について」です。お子さんが「留学したい」と言ったらどうします?

 

■近年、若い人たちの間では、海外勤務志望者や留学生が減少しているという話をよく耳にしました。「内向き志向」などと言われていたそんな流れが少し変わってきているようですね。

 

<海外留学8年ぶり増 中国へ2万人、米抜き最多 12年、文科省「内向き志向改善」>
(2015年2月28日付 日本経済新聞)
『2012年に海外留学した日本人は6万138人(前年比2,637人増)となり、8年ぶりに増加に転じたことが27日、文部科学省のまとめで分かった。経済のグローバル化を背景に留学への関心が高まり、文科省は「若者の『内向き志向』に改善がみられる」と分析。国は20年までに12万人に倍増させる目標を打ち出し、奨学金の拡充などで後押ししている。』

 

 文科省の統計によると、1980年代に大体1万4千~5千人程度だったが留学生は90年代に入る前あたりから増え始めて、89年には2万人を突破。その後右肩上がりで増え続けて、ピークの2004年には8万3千人にもなりました。しかし2005年以降、景気の悪化もあって7年連続で減少し、2011年には5万7千人に。それが2012年にようやく反転して6万人を超えた、ということらしいです。

 

文科省のホームページには留学生を増やす意義として、『グローバル化した社会に対応』、『諸外国への国際的理解・知識の拡大』、『語学力の向上』、『国境を超えた幅広い人的ネットワークの形成』、といった言葉がたくさん出てきます。

確かに、「将来はグローバルに活躍したい!」という若者が、語学力を高めたり、外国の文化を理解したり、グローバルな人脈を作ることを目的に留学するということはよくわかります。しかし、では「国内で仕事をしたい」という人たちにとって留学は意味がないかというともちろんそんなことはないと思います。私は、どこの国へ行くにせよ、将来的にどこで働こうとも、すべての若者が留学を経験した方がいいと強く思っています。

 

■恥ずかしながら 私の話ですが、私は小さい頃から「将来は海外で働きたい」とずっと思っていました。できれば学生時代に留学したかったのですが、とてもじゃないですが資金がなくて無理でしたので、「それならば」と海外で働ける会社に就職させてもらい、その会社の海外派遣実習員制度に応募しました。3年目、25歳の時に念願かなってスペインの大学に一年間留学させてもらうことになり、帰国後に2年間国内で働いた後に今度は勤務で3年間スペインに行きました。

結局、その会社には10年間働かせていただいた後に転職、今は完全に国内で仕事をしております。今、日々の仕事でスペイン語はおろか英語も使うことはほぼありません。でも、あのスペインで暮らしていた期間や語学の勉強に費やした時間が無駄だったとは全く思いません。むしろあの時間があったから今の私があると思えるほど今の私の生き方や考え方に影響を与えてくれています。

 

■海外に住んで外国の友人たちと触れ合って一番意識させられたことは「私は日本人である」ということでした。外国の友人たちからは常に、日本の歴史、宗教、文化、経済、風習などについて聞かれます。留学して初めていかに自分が日本のことを知らないか、自分の考えがないかを思い知らされました。

自分は何者なのか、自分の考え方の根底にあるものは何なのか。

そもそも外国では、いくら言語ができようと自分のことをちゃんと話せない人とは本当の意味でのコミュニケーションが成立しません。だから自分のアイデンティティとは何かということを考え続ける日々を送ることになります。

例えば、私は自分のことを無宗教だと思っていましたが、カトリックやイスラムの友人たちと話しているうちに自分が父や母から受け継いだ暮らしの考え方の中に仏教や神道の教えがあることに気が付かされました。「日本人はお米一粒にも神様が宿っていると考え、手を合わせて感謝して食事をする。」という話をすると皆が私を尊重してくれました。

 外国でのコミュニケーションの前提は「個」があるかどうかです。「個」がない、いわば何を考えているかわからない、どんな思想的背景があるかわからないような人と話す時には外国人は決して本心を話しません。外国では自分の考え、自分の信じるところをはっきりと話せることが大事です。日本のように同じ文化を共有していないので、「何となく言わなくてもわかるでしょ」は通じない世界です。ヘラヘラしているだけでは気味悪がられます。そう考えると、国際感覚を持つ上で大事なのは言語を習得することもそうですが、まず日本人としての自己のアイデンティティをしっかり持つことだと思います。

 

■私は留学後、それまであまり勉強してこなかった日本の歴史や文化を学ぶことが好きになりました。異文化と触れ合うことで自分を相対化することが出来、結果、「私」をはっきりと意識することが出来たと思っています。

 「自分が何者かを突き付けられ続ける環境に身を置くこと」。

これが留学の一番の意義ではないかと思います。若い人には是非留学にチャレンジしてもらいたいと思います。

ansでいつもやっているFPの観点から言いますと、お子様が「留学したい」と言った時に「住宅ローンがあるから無理!」と出来るだけ言わなくても良いような家計設計をしたいものですね。