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住宅ローンか?それとも現金か? ~ハッピーリッチメルマガ223号より~

2015年08月8日

いつもありがとうございます。ansの川瀬です。

 

住宅ローン金利はいまだに史上最低水準で推移しています。ここ3か月ほどじわじわと上がってきていたのですが、8月になりまた少し下がりました。

 三井住友銀行と三菱UFJ銀行は2015年8月の10年固定の住宅ローン金利を前月よりも0.05%引き下げて、1.30%としました。りそな銀行は前月よりも0.10%引き下げて1.20%です。また固定金利の代表格である「フラット35」の最低金利も3か月ぶりに下がりました。

「フラット35」は適用金利こそ1.6%くらいですが、今は、「当初10年間は0.6%引き下げ」という省エネ住宅向けの金利優遇がありますので、当初10年間は1%程度ということになります。

 

これってすごい水準ですね。 

私も住宅ローン相談をしている時には「今は借り時ですよ」と話しています。

それでも、「できれば住宅ローンはあまり借りたくない」という方はいます。出来るだけ頭金を多くしたいとか、現預金を多くお持ちの方になると「現金でスパッと払ってしまいたい」とおっしゃる方も少なくありません。

 

その理由は、おおむね「借金が嫌いだから」です。

なぜ借金がお嫌いかと聞くと、「ローン破産がコワイから」、「利息がもったいないから」というのが
2大理由ですね。

 

その気持ちはわからないでもありません。しかし、収入状況や年齢や健康問題などで住宅ローンを借りることが出来ない方なら仕方がありませんし、「借金は絶対にしない!」という強いポリシーがあるのなら無理には勧めませんが、「現金か?ローンか?」と迷われているのなら、私は「今なら」ローンを多めに借りた方がいいと思います。

 

■現金VSローン、どっちがいい?

例えば、3,000万円の預貯金をお持ちの方が3,000万円の家を買うとします。

住宅取得資金の3,000万円のうち1,500万円を15年ローンで借りたとします。当初10年間をフラット35の0.6%の優遇を使って1.0%としましょう。

 

住宅ローンが1,500万円で手持ちの預貯金が1,500万円残っています。今後、ローン残高以上の預貯金がある状態になります。何かあったら預貯金でローンを返してしまえばいいのですから、2大理由のひとつ「ローン破産」はほぼありませんね。

 

もうひとつの「利息がもったいない」はどうでしょう。

1500万円を金利1.0%で借りて15年返済にしたら、毎月の返済額は89,774円。当初10年間の返済総額は、1,077万円です。その内、利息額は102万円です。

 

この10年間で約100万円の利息はもったいないでしょうか?

私は「今は」、それほどでもないと思っています。

なぜなら今なら当初10年間は住宅ローン減税があるからですね。住宅ローン1,500万円、金利1.0%、15年返済の場合で、住宅ローン減税で還付される金額は10年間で約97万円です。この場合、年収350万円以上ある方ならこれくらい返ってきます。

 

10年間の利息負担は102万円で、ローン減税で返ってくる金額が97万円です。つまり、実質的な家計の負担は10年間でわずか5万円程度です。

 

「でも、10年経ったらローンの優遇期間が終わって金利が1.0%から1.6%に上がるから心配だ」と思われるかもしれませんが、実は金利が上がっても返済額はそれほど上がりません。

金利が1.0%から1.6%に上がると毎月の返済額は89,774円から91,136円に上がります。わずか1,362円です。

なぜこんな程度かというと10年後のローン残高はすでに525万円しかないからですね。金利が上がったとしてもそれ時までにローン残高が少なくなっていれば、毎月の支払負担の増加額はたかが知れているのです。

 

もし、10年後にローン減税が終わって、やはり借金が嫌ならその時点で一括繰上げ返済すれば良いです。預貯金は1,500万円あるのですからね。

  

■ローンは「家計の安心」になる

あと、ローンを組むことのメリットは「家計の安心感」です。

「ローンは不安のタネでしょう?家計の安心とはどういうこと?」と思われるかもしれませんが、ローンを組むことで家計は万が一に備えることも出来るのです。

 

3,000万円の預貯金をお持ちの方が3,000万円の家を買って現金で支払ったら、ローンは当然ありませんが手持ちの預貯金も無くなります。その後に、もしご家族の誰かに怪我や事故や病気など不測の事態が起きてお金が必要になった時、家計に手持ちの蓄えがないと対処出来ません。家計はとても不安定な状態になります。

 

一方で、上の例で半分でもローンを組んでおけば家計には1,500万円残っています。そしてもっと言うと、住宅ローンには保険がついています(団体信用生命保険)。これが住宅ローンの大きなメリットのひとつなのですが、もし、住宅ローンの返済中に借主であるご主人に病気や死亡など万が一のことがあった時には、この保険が下りて住宅ローンは無くなります。ローン残高は無くなり、手持ちの預貯金1,500万円が残るのです。

 

「手持ちの預貯金があること」、「ローンには保険がついていること」、この2つは家計の大きな安心感につながります。

 

負担としては「今なら」10年間で実質5万円程度の利息負担と、それ以外にローンを組む際にかかる登記やローン手数料や税金などの諸経費が50~60万円ほどかかります。でもこれも保険と手持ち資金を確保する安心のためのコストだと思えば大したレベルではない、と私は思います。

もっとも、手持ちの預貯金1,500万円を投資信託か何かでうまく運用できれば、10年間で50~60万円賄うことはさほど難しくありません。利回りにして年間平均0.5%程度で回せれば十分です。

(※住宅ローンに付ける保険は団体信用生命保険(通称:団信)といいます。フラット35は団信付保が任意ですが、付けておかれた方がいいと思います)

 

■まとめ

 まとめますと、低金利でローン減税もある「今なら」住宅ローンを保有するコストは微々たるもの。しかもローンには保険という安心の仕組みが付いている。

そしてなにより家計にとっては「手持ちの預貯金がない」という状態は極力避けねばならないということが一番です。

 

・低金利の今は利息負担が少ない

・住宅ローン減税がある

・住宅ローンには保険が付けられる

・手持ち預貯金は常に持っておかねばならない

 

以上、私が手持ち預貯金をなるべく使わずに住宅ローンを勧める理由です。

ただし、これはあくまでも金利が低くてローン減税もある「今」の話です。状況が変わればまた変わります。住宅購入をご検討の皆さんはこういうタイミングをよく見計らっておきましょう。

 

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