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二重ローンを回避する制度

2016年05月24日

いつもありがとうございます。ansの川瀬です。

先日メルマガ(4月26日付)で「二重ローン」について書きました。ご参考になれば幸いです。

 

『熊本地震、二重ローン問題を回避する制度があります』

~自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインとは?~

(ハッピーリッチアカデミー242号 平成28年4月26日付配信)

 

住宅が損壊し、今も避難生活をおくっておられる方々の中には「まだ先のことは何も考えられない」という方も少なくないと思います。まず今は生活基盤を取り戻すことが優先です。

生活基盤の第一は「住居」です。

当面の住宅の確保について安倍首相は「全体で9,000戸の公営住宅などを確保し、仮設住宅も3,000戸分の資材を確保している」と述べました(4月25日付日経新聞)。

住宅の建て替えや修繕などに対する支援施策は今後徐々に具体的になってくると思います。その中でも特に悩ましいのは「まだ住宅ローンが残っている家が住めなくなってしまった時」だと思います。

地震で家が損壊してしまっても住宅ローンは残っています。被災した方々は住めなくなった住宅ローンを支払い続けながら仮の賃貸住宅に住んだり、新しい住宅を建てるために新たな住宅ローンを組んだりしないといけないのでしょうか。

この住宅に関する二重の負担のことを「二重ローン問題」と言います。

阪神淡路大震災や東日本大震災の時にもクローズアップされ社会問題化しました。

この二重ローンの問題に関して、この4月から新しい制度が始まっています。「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と言いまして、全国銀行協会が中心となってまとめてました。時間のかかる法的手続きをともなう破産や倒産ではなく、迅速に債務整理をする枠組みになります。

今回の熊本地震がこの新しい制度で被災者を救済する初めてのケースになります。

今現在、定まっている手続きについて全国銀行協会のHPの内容を抜粋・要約して記載します。

 

「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続きについて

http://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-i/8815/

 

「債務整理のための手続の流れ」

1)手続着手の申出

「まずローンを借りている金融機関等へガイドラインの手続着手を希望することを申し出ます。金融機関等から借入先、借入残高、年収、資産(預金など)の状況などをお聞きしますので、お手元に借入れの状況などの資料をご用意ください。必要な事項をお聞きし終えた日をもって、手続着手の申出日になります。」

 

2)専門家による手続支援を依頼

「要件が確認されて対象となると判断されたら、手続きが始まります。次は弁護士など「登録された専門家」(以下「専門家」)に支援を依頼します。具体的には、地元弁護士会などを通じて「専門家」手配を依頼します。

 

3)債務整理(開始)の申出

金融機関等に債務整理を申し出て、申出書のほか財産目録などの必要書類を提出します。書類作成が難しい場合には紹介された「専門家」の支援を受けることができます。債務整理の申出後は、債務の返済や督促は一時停止となります。

 

4)「調停条項案」の作成

「専門家」の支援を受けながら、金融機関等と債務整理の内容を協議して、その内容を盛り込んだ「調停条項案」の書類を作成します。

 

5)「調停条項案」の提出・説明

「専門家」を経由して、金融機関等へガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明します。金融機関等は1ヵ月以内に同意するか否か回答します。

 

6)特定調停の申立

すべての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます。

 

7)調停条項の確定

特定調停手続により調停条項が確定すれば債務整理成立です。

 

調停なんて単語が出てくるとわからなくなってしまうかもしれませんが、詳しい手続きは弁護士さんなどの専門家がサポートしてくれます。まずは銀行へ行って相談することからです。その際には「罹災証明」も必要になります。まずは今の返済を止めてもらう(3)の段階まではスムーズに行きたいところです。

 

通常だと債務整理をすると個人信用情報に登録されてしまい、新しい借入が出来なくなりますが、このガイドラインに則った手続きでは登録されません。過去の債務を整理してスムーズに新しいローンを組むことが出来ます。

 

まだまだ厳しい日々を送っておられる方は多いと思います。どうぞお身体には気を付けください。