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COLUMN

住まいづくりコラム

2017.6.9
住まいづくりコラム

新しい朝。

みなさまこんにちは~。スタッフ武田です。

震災で影響を受けていた近所の大きなお屋敷が、とうとう解体されました。
作業期間は、たったの5日でした。

5日間、
仕事が終わって家に帰る前、暗がりの中でうっすら見える、
このお屋敷の解体状況を見るのが怖かった。
それよりも翌朝出勤するときの方がもっと。
目の前から、いろんなものがどんどん消えていくのです。

このお屋敷には、盆栽好きなおじいさんが住んでいました。
庭には数えきれないほどの、盆栽の鉢がおかれていて、
それはそれは立派なものでした。

大音量のラジオを外で聞きながら、
盆栽を愛でているおじいさんが夏の朝そこにいて、

「おはようございます」
下を向いたおじいさんが私の声に反応してくれることはなく、
顔が合った時にだけ、塀越しに話をしたことがあります。

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このおじいさんの姿を見かけなくなってから、季節は幾度か変わり、
庭の盆栽は荒れ果てていきました。
時々庭師がやってきては、大きな庭木を刈っていきました。

ある時、敷地内で久しぶりに人の姿を見かけました。
「あのー、最近おじいさんをお見掛けしませんが」

40代位の男性が教えてくださいましたが、
おじいさんは、しばらく病院に入院していて、もう亡くなったそうです。

「ここでこうやって、おじいさんと盆栽の話をしたことがあって。
 私の父も庭をつくるのが大好きだから。」
その男性は、私に向かって深々と頭を下げました。

それから震災がきて、このお屋敷は大きな被害を受けました。
昔の立派な姿はなく、
風が吹くたび、外れたサッシはがたがた、
内側のカーテンでやっと支えられているような状態。
そのカーテンもカビが生えたように色褪せ、
いつでも空き巣に入られそうでした。

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今、私はこの仕事を通して、
誰かのための、新たな家づくりのお手伝いをしています。

土地や建物はこうして姿を変え、
人が住む場所にはいろんな歴史があるのだと
このお屋敷の生まれ変わりを見てそう感じました。

正直、
ここに住んでいたおじいさんがどんな顔だったか、
思い出せません。

でも、
ここに立派なお屋敷があったことは知っています。
盆栽好きな、耳の悪いおじいさんが住んでいたことを、
この地を離れるときがきても、

私は絶対忘れません。