COLUMN
家づくりをされている方が、一番時間をかけると言っても過言ではない「間取り」の打ち合わせ。
SNSでも「おしゃれな家」「収納の多い家」が注目されがちですが、実際に暮らしてみて「よかった」と感じる人が多いのは、“家事がしやすい動線”の家です。
特に子育て中や共働き家庭では、家事動線が整っているだけで日々の「忙しい!」が少しラクになるもの。
今回は、共働き子育てママの目線から見る“家事ラク動線のアイデア”に対する率直な意見をお伝えします。

家事動線とは、料理・洗濯・掃除などの家事をする時の人の動き方を意識した間取りのことです。
生活する上では、
・起きる→顔を洗う→着替える
・帰宅する→手を洗う→ご飯を食べる
と言った動線もありますが、これは一般的に「生活動線」と言い、暮らし全般を指します。
家事動線は、家事をする流れに重点を置いた動線のことで、生活動線の一部と言えます。
最近よく聞く回遊動線も家事動線を意識した間取りの一例で、家事で部屋の中を行き来する際に行き止まりがなく、ぐるぐると周回できるようになっているためそう呼ばれています。
もっと簡単に言えば、
・洗濯機(洗う)→物干し(干す)→収納(しまう)
・勝手口(買い物したものを室内に入れる)→パントリー(収納)→キッチン(調理)
・冷蔵庫(食材を出す)→キッチン(調理)→ダイニング(食卓に並べる)
このような動きが家事動線と言えます。
こうした動線が短く動きやすくなると、時間も体力も大きく節約できるのです。

洗濯動線は、家事動線の中でも特に重要ではないでしょうか。
施工事例などでよく見かける室内干しスペースやランドリールームは、共働きで外干しできない子育てママにとってはあってよかった間取りNo.1です。
子供の洗濯物は本当に多く、毎日使うものは2セット以上用意して、洗って乾いたら翌日使うローテーションなんて当たり前。
外干しが恋しい時もありますが、予想外の雨に濡れてしまった洗濯物を帰宅後に見つけたら、もうそれだけでどっと疲れてしまいます。
そのため、洗濯機のある脱衣所のすぐ横に室内干しスペースやランドリールームを設ければ、その近くにファミリークローゼットを配置すると「洗って干してしまう」までの動きが最短になり、雨に濡れる心配も無し。
洗濯機を回す回数が1日1回ではない場合なども、この動線の短さの差が積み重ねると大きな時短になります。
やはり回遊動線は魅力的です。
家事は基本的にマルチタスク。
キッチン→洗面所→リビングや玄関へと回れる回遊動線は、人気の理由に納得です。
出入口が2箇所あると、朝の時間帯など家族が一斉に動く時間にも渋滞しにくく、「子どもを見守りながら家事」がしやすくなります。
アイランドタイプのキッチンも回遊動線の真ん中にあると便利です。
キッチンに立つ時は料理にだけ集中してればいい、なんてのんびりした時間はありません。
料理をしながら、子どもの宿題を見るなんてこともあるでしょう。
アイランドキッチンはオシャレなだけではなく、開放感もあって視線も通りやすいので、「ながら家事」に役立ちます。
ただし、アイランドキッチンはペニンシュラキッチンと違い横に油除けのできる壁がないため、揚げ物をすると広範囲に油が飛び散りやすいと言うデメリットもあります。
こまめに床のお掃除をすると言う家事を減らしたい場合は、ペニンシュラキッチンの方が楽かもしれません。
たとえば、帰宅した小学生の子どものランドセルを毎日どこに置いてもらいますか?
子ども部屋?スタディーカウンターの上?ダイニングテーブルの上でしょうか?
帰ってきてすぐランドセルを広げて宿題を始めるならそれでもいいですが、玄関とリビングの間に収納をつくり、そこを帰宅後すぐの一時的なランドセル置場にするのもいいかもしれません。
また、1回着るだけでは洗わないコートやジャケットなどの上着も玄関付近に掛けておける場所があると花粉や埃を室内に持ち込まずに済みます。
玄関まわりのスペースに余裕があれば、靴を脱ぐ場所をお客様用と家族用とで分けると、急な来客時に子どもの靴や外遊び用のおもちゃが散らかった玄関の片付けに慌てずに済みます。
玄関は常にきれいでスッキリ片付いているのに越したことはないですが、朝や夕方の忙しいときのためにも、掃除や手間はできるだけ減らしたいですよね。

「動線って言われても、難しそう」「そんなに細かくイメージできない…」という方も多いですが、最初から完璧な間取りを自分で考える必要はありません。
大切なのは、
「どんな生活をしたいか」
「どこで毎日“ちょっと不便”を感じているか」
この2つを整理すること。
たとえば「朝の支度がバタバタ」「洗濯物がリビングに干しっぱなし」など、日々の困りごとをメモしておくだけでも、住宅会社との打ち合わせで伝えやすくなります。
間取りに正解はありません。
多くの人が良いと言う間取りでも、自分たちの生活に合っていなければ取り入れる意味がありません。
普段の家事で「ここがもっとこうなったらラク
こうした工夫なら、追加の設備費用をかけずとも“動線の良い家”の実現が可能なのです。
もっと言えば、各部屋のクローゼットのドアを無くしたり、廊下を少なくするだけでも、家事の時短に繋がります。

動線を考えるのはプロにとっても奥深いテーマ。
SNSや間取りサイトを見すぎて「情報迷子」になる方も少なくありません。
家事動線を考えることは、間取りを決めるためというよりも、家族の暮らし方を見つめ直すことに近いものです。
だからこそ、
「こんなふうに暮らしたい」
「毎日をちょっとラクにしたい」
そんな思いがあれば、家づくりはもう始まっています。
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